2010年 08月 15日
母の道具 |
数十年もの間、母の手元にあった道具。
洋裁の道具です。
このあいだ、実家に帰った時に譲り受けた、ハトメとボタンホールをつくるための
道具。
父のシャツや、わたしと姉のおそろいのワンピースなんかのボタンホールは、これで
作ってたんだなぁ。
ベルトの穴あけなんかは、よくこれでやっていたなぁ。
鳩の目みたいだから、ハトメ。
それを知ったのは、この道具で。
母のお裁縫箱は大きくて、見たこともない道具がたくさん入っていて、ちいさいころ
それを眺めるのが好きだった。
ほかにも外国のお菓子の入っていた缶がいくつもあって、その中にはきれいなボタン
や端切れなんかがたくさん入ってたっけ。
このあいだ、すこし錆がついたその缶の中から、懐かしいものをいくつかみつけた。
姉とおそろいで作ってくれた、サマードレス。
白地に大きな青い花がプリントされた生地で、胸にシャーリングが入って、肩に白い
ベルトが通っていて。
そのベルトについていた、透明のアクリルのボタン。
表面がカットされて、光を受けるときらきらして。
幼心にそのきらきらが、ものすごくきれいに見えて、大好きだった。
たくさんのボタンの中からつまみだして、もらって帰ってきた。
こどもの服につけてみよう。
よく使い込まれて。
きっと元々は赤い塗装がされていたのだろう、柄の部分。
母の若いころは、洋服はほとんどが手作りだった。
そして、わたしが小さいころ、母はよく業務用の足踏みミシンを使って、なにかしら
作っていたっけ。
ミシン油のにおいが、ふっと。
あったかい時間だったなぁ。
何かに追われるかのように過ごしている日々。
わたしは、こどもにそんな記憶を残してやれるかなぁ。
今のままじゃ、駄目だなぁ。
by sasaburou
| 2010-08-15 07:37
| ちょっとひといき