2010年 06月 02日
ふたたびの場所 |
ちいさいころに、真っ黒になって遊んだ場所。
手すりをぎゅっと握りしめて、自分の背を超す高さを知った、シーソー。
昇っては風のように滑り降りた、滑り台。
あのころのわたしより、ずっとちいさな女の子が、わたしの目の前であのころの
わたしのように、遊ぶ。
履いていた靴が、まるできゅうくつだと言うように、裸足になって。
こわくてなかなか昇れなかったジャングルジムも
滑り台のスロープを上ってくることだって、できる。
雲の厚い、その日。
いっしょに遊んでくれた、少し年上のおにいちゃんが、とても詩的なことを言う。
そらがぎんいろだね。
曇りの暗い灰色の空が、輝いた気がした。
そして、またひと言。
そらがうごいてるね。
風が強いと雲が早く動くからね、空が動いてるみたいだよね。
これは彼のお父さんのことば。
こどもはみんな、詩人。
風に乗れるかも。
雲に届くかも。
詩人だったころのわたしが遊んだブランコに、今、わたしのこどもが風を切る。
by sasaburou
| 2010-06-02 01:45
| ひび